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【ブックレビュー】天才はあきらめた - 山里亮太

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南海キャンディーズ、山里亮太さん(山ちゃん)の自伝だ。
文章は特によどみがなく、内容的にも読みやすい本だと思う。
山ちゃんのことは、一視聴者としてテレビを通じて観測していただけだったが、性格が悪そうなのは表面上のキャラだと思っていた。だが、筋金入りの性悪、いや性悪という言葉だけでは表現しきれない、暗黒のエネルギーの持ち主だということが理解できた。
人の性格というのは様々だ。性格がよいということだけポジティブにクローズアップされるが、山ちゃんのような性根の人間の持つエネルギーだって立派な、人間の持つエネルギーだと思わされる。素晴らしい結果に至るまでの過程は人それぞれで、他者が、成功者を見てこのひとはこれだけ素晴らしい業績があるのだから、素晴らしい内面にも違いないと妄想するのは暴力的である。人それぞれ、どう積み上げていったかはユニークなものだ。
その、暗黒のエネルギーで突き進んでいく過程がとても面白い。
山ちゃんは、性悪なエネルギーで突き進みながらも、善い人間、善い流れに巻き込まれていく。寮の先輩、植松さんのエピソードが感動的で印象に残った。解散を相談した時の千鳥の大悟さんの言葉も、涙を誘う。山ちゃんは性悪ながらも、善い他人の行いを受け入れるキャパシティがある。それが成功の理由なのかもしれない。